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投資家向け広報(IR支援)

議決権行使の動向から見えてくる
日本企業におけるガバナンスの課題とは?

Hermes (ハーミーズ)EOS
エンゲージメント担当
アソシエート・ディレクター
鈴木 祥

掲載日:2019年11月11日

01近年の株主総会に見られる変化

2019年の株主総会シーズンは、いわゆる「物言う株主」の存在感が目立ち、株主提案を受けた企業の数が過去最高になった。この背景には、2014年に導入されたスチュワードシップ・コード(「責任ある機関投資家」の諸原則)や、翌2015年に導入されたコーポレートガバナンスコードにより、企業と株主の対話が促進されたことがあるだろう。

特に2017年のスチュワードシップコードの改訂で、議決権行使結果について個別の投資先および議案ごとに開示することが強く促されたことにより、それまで概要の開示しかしていなかった機関投資家も一斉に個別開示をするようになった。これは機関投資家が自身の議決権行使判断に対して責任を問われることを意味し、ガバナンスの改善が求められる企業、あるいは少数株主の権利保護の観点から問題がある場合などには、しっかりと経営陣に反対票を投じることが求められるようになった。この頃から、企業の経営陣に対しての反対票が目立つようになってきた。

こういった投資家の動きや、コーポレートガバナンスコードの要求も受け、企業側も株主との対話を積極的に行い、株主の意見を取り入れながらガバナンスの改善に取り組むようになってきた。また2014年に発表された、いわゆる伊藤レポートをきっかけに、多くの企業の経営陣が資本効率や収益性を意識し始め、株主のための価値創造の重要性を認識する企業が増えてきた。

ここ最近、日本で物言う株主の動きが活発化した背景には、このように機関投資家と企業側の双方における変化があるだろう。今までは株主提案を出しても、他の機関投資家は経営陣を支持しがちで、多くの支持を受ける可能性が少なかったが、ここにきて、少数株主全体の利益になると考えられる提案であれば、支持を受ける可能性が高まってきた。同時に企業側も、株主提案が通らなくとも、その要求をより真摯に受け止めるようになったことで、株主側も提案する意味合いが増したと考えるのだろう。

また、株主提案には至らずとも、アクティビストが経営陣との対話を通じて、取締役会の構成に影響を及ぼしたケースも見られた。

欧米では近年、株主至上主義に疑問が呈されており、株主以外のステークホルダーへの配慮が求められている。これは非常に重要な問題だが、日本では全体としてまだ株主の利益が十分に尊重されているとは言えないと考え、ここではまずこの状況を改善することに焦点を当てて議論する。

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