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持続可能な開発目標(SDGs)で創る我々の未来

独立行政法人国際協力機構企画部SDGs推進班(執筆当時)
政策研究大学院大学政策研究院参与(現在)
紺屋 健一

掲載日:2018年1月10日

04創りたい未来を実現するチャンス

【前向き、明るい未来を目指すものとしてのSDGs】

筆者は、SDGsの最大の特徴は、前向きであり、共に明るい未来を創りだそうとするものと捉えている。MDGsにおいては、先進国が開発途上国を支援するといった上から下への流れのような構造、あるいは悲壮感に訴えようとしたものであったのに対して、SDGsは、副題「Transforming Our World」が示すとおり、世界で共に新たな、また明るい未来・世界をつくりだそうとするものである。問題を解決するだけではなく、その結果、ひとびとが何を実現しようとするのか、それを明らかにし、それを可能にしようとするものである。

【GDPに始まり、GDPに代わるものの探究で終わるSDGs】

SDGsの169の最初のターゲットは貧困撲滅であり、最低限の所得を確保しようとするものである。その後、教育や健康、水に関するターゲットを経て(ただし、ゴールの順番に明確な意味づけはなされていない)、169番目、すなわち最後のターゲットは、GDP以外の持続可能な開発の指標を模索していくというものである。

【多様な価値観の顕在化】

既に、ひとびとの暮らしや満足は、GDPでは測れなくなってきている。例えば、シェアリングエコノミーが進展し、カーシェアリングが普及すれば、路上駐車が減り、より移動が円滑になり、便利になる一方で、自家用車の販売台数が伸びなくなり、この結果GDPも上昇しない可能性がある。このような状況は、価値観や社会・文化にも起因すると考えられる。例えば、当機構がミャンマーのヤンゴンで行った調査では、どのような都市にしたいか、との問いについて、経済よりも、国際的、清潔、先進的、平和、安全を重視する回答が多い結果となった。

【多様な生き方】

貧困が撲滅され、健康で十分な教育を得られ、インフラも整った時に、我々はどのようにありたいのか。人により置かれた状況や価値観は様々であり、ありたい姿もおそらく人により様々である。それを実現することが「誰ひとり取り残されない」状態であるとも言えよう。このような状態を想定し、その実現を目指すことは、SDGsに取り組む際にも非常に重要と考える。例えば、SDGs達成のために、医療・健康面での貢献を目指す企業が見られるが、健康で長生きするとチャンスが拡大し、楽しい人生を過ごせると考えることで、人々の健康になりたい、そのための商品やサービスを得たいとの欲求も増大する。現在、開発途上国で民族や宗教、性別、年齢等を理由に能力を自由に発揮できない方々については、それを改善していくといった観点が必要と考えられる。

また、多様性の実現は複雑で困難であるが、それは「誰一人取り残さない」だけでなく、様々なビジネスチャンスにも繋がる。日本航空の社長は、世の中が多様でなければ誰も旅行しないと述べられているが、多様であるがいずれも素晴らしい生き方をしているような社会は互いを尊重し、惹き付けあうものと言えよう。

このような社会の実現は困難と思われるかもしれないが、既に日本においても議論は進められている。例えば、滋賀県知事は、SDGsを通じて「私たちには、かけがえのない琵琶湖があります。(中略)琵琶湖を真ん中に人の生き方だとか、生き物の生き方だとか、共生社会だとか、とかく民主主義、資本主義が問われ、求心力よりも遠心力が働く分断の時代であるからこそ持続可能な共生社会のモデルは滋賀にあるんだと、琵琶湖にあるんだと、そういうメッセージを自信を持って発信」していくことを表明されている。また、2025年の万博誘致のコンセプトにもSDGsが用いられており、安倍首相は、「これからの生命のあり方、生き方、ライフスタイルについて国際社会に発信する」とされている。このような社会のあり方を考えることで、「誰一人取り残さない」ための民主主義や資本主義といった仕組みについて考えていくことも可能と考えられる。

人々がそれぞれその人らしい生き方を可能とし、それを皆で実現していこうとするものがSDGsであると筆者は考えている。読者の方々が自らの目指すものを実現するために是非SDGsをきっかけにして頂くことを期待する。

以上

Profile

独立行政法人国際協力機構企画部SDGs推進班(執筆当時)
政策研究大学院大学政策研究院参与(現在)
紺屋 健一
1996年国際協力事業団(JICA)入団、建設省出向、フィリピン事務所勤務。
その後、都市開発分野の担当課長等を経て、2016年5月から企画部SDGs推進班参事役。2018年1月から現職。

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