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クライアント企業の情報開示、ブランディングの進化・深化を考える
ブレーンセンターの「視点」

はじめてつくる統合報告書成功させる3つのポイント

POINT 1

投資家や社会からの要請で年々複雑になるガイドライン、何をどこまで理解すればいい?

2023年には1,000社を超えた、国内の統合報告書の発行企業。一部の大企業だけが発行するIRツールから、自社の成長戦略とサステナビリティ戦略を訴求する広報物として、発行主体は中堅企業にも広がってきています。
統合報告書の発行にあたっての「手引」となるのが、各種機関が発行するガイドラインです。IFRS財団による「国際統合報告フレームワーク」を筆頭として、経済産業省による「価値共創ガイダンス」、サステナビリティ・ESG関連の開示には「SASBスタンダード」、欧州の国際的な非営利団体であるGRIによる「GRIスタンダード」などが、日本企業ではよく参照されています。統合報告書を発行するにあたって各企業は、このガイドラインと、自社が描く現状の成長ストーリーを往復しながら、開示項目・情報を吟味・検討していく必要があります。
もっとも、この「手引」、やや難点なのは、はじめて統合報告書をつくる企業のIR・広報・経営企画などのご担当者様にとっては、聞きなれない用語も多くとっつきにくいところです。何をどこまで参考にすればよいのかわからない、というところで、壁にぶつかる担当者様も多いのではないでしょうか。ガイドラインにも、必ず押さえておくべき基本にあたる部分と、先進的なESG開示に取り組む企業向けの応用編があるので、何をどこまで意識すればよいのかの見極めが大切です。

主なガイドラインの特徴の比較

  対象読者 視点 テーマ・イシューの範囲 開示要請の細かさ
GRI 全ステークホルダー 社会への影響は? 最も広範 最も詳細
IIRC 投資家+他も 価値創造の能力は?
(社会、財務両方に影響)
(大きな枠組みのみ) (大きな枠組みのみ)
SASB 投資家 財務への影響は? 業界で重要なものだけ 詳細
TCFD 投資家 財務への影響は? 気候変動だけ 詳細

POINT 2

フレームワーク対応と独自性の両方が求められる価値創造ストーリーづくり

統合報告書の制作で、とりわけ担当者様を悩ませることが多いのが、「価値創造プロセス/ストーリー」です。多くの統合報告書では、企業がどんな価値を、どのように社会に創出しているのかを説明するページ、コーナーが設けられています。
その説明の枠組みになるのが、「国際統合報告フレームワーク」の「財務資本および非財務資本」「ビジネスモデル」「アウトプット」「アウトカム」といった概念です。統合報告書の読者にとっては一種の共通言語になっているこうした概念をうまく活用すれば、自社が社会に提供している独自の価値創造をわかりやすく表現するのに役立ちます。一方で、概念に振り回されて上手く消化しきれずに、何が言いたいのかよくわからないものになっているケースもよく見られます。自社の事業を魅力的に伝える「価値創造ストーリー」を構築するのは、統合報告書づくりの大きな目標の一つと言えます。

価値創造ストーリーづくりの進め方(一例)
価値創造ストーリーづくりの進め方(一例)の図

POINT 3

統合報告書でも大切なのは、目的の共有とチームづくり

統合報告書の制作は、長期のプロジェクトです。多くの企業様で、日本語版の発行予定日の6か月以上前にはキックオフされています。英語版や発行後の効果測定を含めると、ほぼ1年じゅう、統合報告書に関する業務が動いている、というケースも珍しくありません。
また、統合報告書の制作は、IRや経営企画といった主管部門だけでは進められません。良い報告書をつくるためには、環境や人事、法務、調達、各事業部門など、社内の多数の部署の理解・協力を得ていく必要があります。
とはいえ、主管部門以外の人たちにとっては、寝耳に水といえる業務が多いのも、はじめての統合報告書づくり。ここで重要になるのが、社内のキーパーソンに早い段階でアウトプットのイメージを共有することです。一部の企業では、関係部署向けの説明会を実施しているケースもあります。社内にうまく仲間を増やしながら制作を進められるかが、はじめての統合報告書づくりのポイントと言えます。加えて、関係者がスムーズに連携していくために、コミュニケーションのルールやツールを整備していくことも重要です。

まとめ

「はじめて」プロジェクトの成否を決めるパートナー選び

こうした問題をうまく解決し、はじめての統合報告書づくりを成功させるためには、コンサルティングから制作進行を一貫して任せられるパートナー選びが重要です。統合報告書づくりは、ガイドラインへの深い知見、取り巻く環境や事業を理解する企業理解力、魅力的でわかりやすいコンテンツに落とし込む表現力、長期のプロジェクトを取り仕切るマネジメント力など、複数の能力が求められます。
50年近くにわたり企業コミュニケーションを支援してきたブレーンセンターは、統合報告書制作に不可欠な、IRやサステナビリティ分野でのコンサルティング機能と企画制作機能の双方を持つ、数少ない支援会社の一つです。時代の変化を先取りし、コミュニケーション支援の領域を拡大してきたため、企業を取り巻く多様なステークホルダーを理解し、適切な施策を立案する豊富な蓄積・ノウハウがあります。
関心をお持ちいただいた担当者の皆様は、ぜひブレーンセンターへご相談ください。