サステナビリティ・CSR広報

英国現代奴隷法、日本企業はどう対応するべきか

Sustainavision Ltd.代表取締役
下田屋 毅

掲載日:2016年8月8日

03現代奴隷法に関するガイドライン

この「奴隷と人身取引に関する声明」について、具体的にどのように発行していくのかということだが、英国政府が、2015年10月29日にこの「奴隷と人身取引に関する声明」についてのガイドラインである「Transparency in Supply Chains A practical guide(サプライチェーンの透明性: 実践ガイド)」*7を発行し取り組みを促している。このガイドラインは、Ethical Trading Initiative(ETI)やAnti-Slavery International、British Retail Consortium(BRC)など現代奴隷法の制定に携わったNGOや関連団体が、このガイドラインの作成にも携わっている。英国の現代の奴隷制の根絶を担当する英内務省がこのガイドラインを発行し、ガイドラインには、企業がどのようにこの現代奴隷法に対応すればよいのかが詳細に書かれている。

また別途、人権NGOの「コア(Core)」が中心となり、「Beyond Compliance: Effective Reporting Under the Modern Slavery Act(コンプライアンスを超えて:現代奴隷法下の効果的な報告)」*8というガイドラインを2016年3月16日に発行しNGO・市民社会の視点から、その重要性を訴えている。

またStronger Togetherという英国のイニシアティブが、現代における奴隷制を企業のサプライチェーンから排除するためのツールを作成し提供している。多くのツールは英国をベースとする内容だが、グローバル・サプライチェーンに関するツールについて2016年6月に発行している*9

Profile

Sustainavision Ltd.代表取締役 下田屋 毅
在ロンドンCSRコンサルタント。大手重工会社の工場管理部にて人事・総務・労務・教育・安全衛生などに携わった後、環境ビジネス会社の立上に参画。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。欧州と日本のCSRの懸け橋となるべくCSRのコンサルティング会社「Sustainavision Ltd.」をロンドンに設立、代表取締役。

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