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サステナビリティ・CSR広報

英国現代奴隷法、日本企業はどう対応するべきか

Sustainavision Ltd.代表取締役
下田屋 毅

掲載日:2016年8月8日

04奴隷と人身取引に関する声明に取り組むためのステップ

2016年6月末時点での「奴隷と人身取引に関する声明」を発行している企業は、確認されている中で、340社が挙げられ、人権NGOの「コア」が中心で確認を行い、ビジネス・人権資料センターのウェブサイトにリンクを掲載している*10

コアとビジネス・人権資料センターは、2016年3月時点で、企業が発行した「奴隷と人身取引に関する声明」について、次の点に着目していた。

① 声明に企業の取締役が署名しているか
② 声明のリンクが企業のトップページの分かりやすいところにあるか
③ 法令の中で要求している6つの分野が記載されているか

法令の中で記載を義務付けているか、あるいは推奨している上記3つの内容を発行済のそれぞれの企業の声明を確認した上で、その有無を掲載していた。現在は企業の声明へアクセスできるリンクを掲載しているのみに留まっているが、この上記3つの点においては、市民社会側が注目している点として引き続き企業が声明を作成する上で考慮が必要な部分と言える。

上記を踏まえた上で、この現代奴隷法2015に則って進めていく上で、企業は以下のステップを踏むことが望まれている。

  1. 企業が、最初の年にサプライチェーンの全てを確認して現代の奴隷制があるかを確認することはほぼ不可能であるとされている。その上で、
    • まず企業が自社とサプライチェーン上での奴隷制の問題を仮定して方針を作成すること。
    • またどのようにこの現代の奴隷制に取り組んでいくのかを含む今後のプランを立てること。多くの事を実施することを最初の年に企業に求めてはいない。
  2. 2年目は、この声明で表明した現代の奴隷制に取り組むプランに沿って、専門家を巻き込んで、どこに問題があるのかを確認していく。
    • 現代の奴隷制の影響を受けているのは誰か。
    • それらを特定、実行し、問題がないかを確認していく。
  3. ガイダンスには、毎年ステップアップしなければならないと記載されている。
    • 自社が立てたプランを実行して、毎年ステップアップすることが期待されている。
    • プランを実行しないことや、進展がないことは許されていない。

このように英国では現代奴隷法の法制化に伴い、企業がサプライチェーン上における現代の奴隷制を確認の上、根絶する取り組みを既に始めている。これらを踏まえ日本企業は、英国現代奴隷法を足掛かりにして、日本国内外のサプライチェーン上に現代の奴隷制がないことを確認する計画を建てるなど、「ビジネスと人権」に関する認識を深め行動を起こすことが求められている。

Profile

Sustainavision Ltd.代表取締役 下田屋 毅
在ロンドンCSRコンサルタント。大手重工会社の工場管理部にて人事・総務・労務・教育・安全衛生などに携わった後、環境ビジネス会社の立上に参画。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。欧州と日本のCSRの懸け橋となるべくCSRのコンサルティング会社「Sustainavision Ltd.」をロンドンに設立、代表取締役。

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