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クライアント企業の情報開示、ブランディングの進化・深化を考える
ブレーンセンターの「視点」
オンライン版統合報告書の事例解説Webサイトの特性を活かした情報発信

オンラインで、統合報告書をより幅広く、魅力的に届ける
昨今、統合報告書を冊子ではなくHTMLで作成し、「オンライン版」として公開する企業が目に留まるようになりました。日本では2017年頃から徐々に社数が増え、コロナ禍で対面コミュニケーションの機会が少なくなった時期を経たことで、オンラインでの公開が広まりつつあります。
オンライン版は、パソコンやスマートフォンなどから場所や時間を問わずアクセスしやすく、より幅広い対象に読んでもらいやすいという利点があります。また、100ページを超えるようなボリュームのある冊子は読むハードルが高く感じられることもありますが、オンライン版は冊子のように頭から読むのではなく、読みたいページにすぐに移動でき、手軽であることも大きな特徴です。
オンライン版統合報告書の主な形式として、下記の2パターンが見られます。
- 冊子(PDFを含む)で制作し、その内容のダイジェスト版をオンラインで公開
- オンライン版のみで制作・公開(冊子を制作しない)
本記事では、それぞれの特徴と事例をまとめました。
パターン1:ダイジェスト版としての公開
冊子形態で発行しつつ、その内容のダイジェストをオンラインで公開するパターンです。この事例の特徴は、主に以下の3つが挙げられます。
- トップページで内容の概要をまとめ、詳細はPDF(冊子本体の該当ページ)にリンクさせている
- 各ページへの遷移がしやすいよう、トップページに情報がまとまっている
- ビジュアル要素を多く用いて訴求している
コニカミノルタ株式会社
トップページで各コンテンツへのリンクを目次のように並べ、コンパクトにまとめている事例です。トップページで主要な項目が一覧化されていることで、各コンテンツにたどり着きやすい構造になっています。
CEOメッセージや鼎談、中期経営計画など、特に重要な内容はHTMLのページを作成。そのほかの詳細な情報は、冊子のPDFにリンクさせています。

株式会社資生堂
こちらは役員メッセージのみに絞ってHTMLページを作成している事例です。多様なビジュアル表現ができるWebの利点も活かして、一部に動画を用いており、より印象的に人物を訴求しています。

伊藤忠商事株式会社
コンテンツを充実させたトップページを作成している事例です。統合報告書の各章をトップページで一覧化するだけでなく、内容のポイントをまとめて見せることで、トップページ上で内容を一望することができます。

図・イラストなどのビジュアル要素も多く用いて説明されており、このページを見るだけで統合報告の全体像・概要を掴むことができます。
パターン2:冊子を作成しない、オンライン版のみでの公開
冊子を作成せずオンラインのみで公開するパターンです。特徴は、主に以下の2つが挙げられます。
- 随時、情報を更新している(年次での発行にこだわっていない)
- コーポレートサイトで公開している情報や既存資料などと連携されている
株式会社IIJ
「統合報告ポータル」として、各コンテンツをそれぞれHTMLページとして作成している事例です。各コンテンツの最新情報が反映されています。

LINEヤフー株式会社
この事例では、メッセージや成長戦略といった統合報告のコンテンツをHTMLで新規に作成し、理念や財務データなどの情報はコーポレートサイトの別ページにリンクさせています。オンライン公開の利点を最大限に活かし、既存の公開情報をそのまま利用することで、制作工数の削減につながります。

用途や読者の傾向に合わせた発信の選択肢のひとつに
統合報告書のオンライン版について、2つのパターンを紹介しました。
一方で、「冊子のほうが読みやすい」「一覧性や保管性のあるものがよい」という声も根強くあるのも現状です。自社の統合報告書の使い方や読者の傾向に合わせて、公開方法を検討することが大切と言えます。
ブレーンセンターでは、冊子での発行とオンラインでの公開のどちらもご支援が可能です。統合報告書の発信形態を検討中の企業様は、ぜひご相談ください。