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クライアント企業の情報開示、ブランディングの進化・深化を考える
ブレーンセンターの「視点」
学生向け企業研究ツールとしての統合報告書自社の魅力・成長性の本質を理解してもらう

新卒採用への活用を考える
「統合報告の行方」シリーズの第2回として、今回は“新卒採用”における統合報告の活用方法を考察します。第1回では、大学生に統合報告書を読んでもらったアンケートの回答を踏まえて下記を結論としました。
- 統合報告書を活用して、自社の考えや取り組みをきちんと伝えることができれば、入社志望動機を高められる可能性があるといえそう
- 一方で、「大学生の中で統合報告書の認知度が低いこと」「予備知識無く読み進めるには難易度が高いこと」は統合報告の活用を進めるにあたって解決すべきテーマである
第1回の記事
統合報告の行方~統合報告が採用の切り札に⁉「人材採用」への活用方法を考える~
それでは、どうすれば自社の統合報告書を大学生に読んでもらえるのか、また採用コンテンツに具体的にどう落とし込むのかについて、現在検討中のサービス・商品構想を踏まえて考えたいと思います。
学生に統合報告書を読んで理解してもらうために
読んでもらうためのアイデアを2つ紹介します。
①オープン・カンパニーで活用する
本記事をご覧になっているのが人事部門の方である場合、オープン・カンパニーのプログラムに組み込んでみてはどうでしょうか。就業体験をするインターンシップとは異なり、業界・職種などに対する理解促進を目的としているのがオープン・カンパニーです。全学年を対象として選考がなく、また気負わずに参加できる1day開催のものが多いため、近年参加する学生が増えています。学生との最初の接点となることが多いオープン・カンパニーですが、現在のプログラムは貴社の魅力や成長の本質を十分に伝えられているでしょうか。統合報告書を活用して、業界理解や自社のプレゼンス、競合他社との違いや強み、成長ストーリーを理解させるプログラムを検討してはいかがでしょうか。
ブレーンセンターでは、2025年1月、千葉大学の有志の学生さんに協力いただき、同じ業界のライバル企業の統合報告書を読み、企業の特長や違い等を考えてもらうワークショップを開催しました。ワークショップの内容とアンケート結果をご紹介します。
ワークショップの内容
そもそも統合報告書にはどのような情報が掲載されているか、また特に企業らしさが表れる「価値創造モデル」を中心に、どのような点に着目して企業理解を進めればよいかをレクチャーしました。その後、実際に同じ業界のライバル企業の価値創造モデル等を比較し、各社の特長・違いを参加してくれた学生に回答してもらいました。

アンケート結果サマリー
「実際に同業他社の統合報告書を比較したことで企業研究の方法が分かった」「企業のサステナビリティに関する活動などを具体的に知ることができてよかった」とのコメントがあり、参加した学生からは好意的な感想が寄せられました。
なお、ワークショップに参加した学生の半数が1年生で、早い段階から業界・企業研究を始めたいという関心の高さがうかがえました。「各企業が統合報告書の説明会を開催する場合、どのようなビジネスパーソンから説明を受けたいと思うか」という問いに対しては、30代の中堅社員から説明してほしい、という回答が約半数ありました。学生は将来のロールモデルとして中堅社員が、会社の強みや戦略についてどのように理解しているのかを聞きたいと思っているようです。貴社の30代社員は統合報告書を活用して自社の強みや成長ストーリーを語れるでしょうか。

②統合報告書のエッセンスをWeb、映像、ダイジェスト冊子にまとめる
経営企画やIR、広報部門の方は、上記①のオープン・カンパニーは人事部門も巻き込まないといけないから大変…!と思われたでしょう。そんな皆さまに2つめのアイデアです。これはブレーンセンターでもすでに支援した事例が多数ありますので、それに紐づけて紹介します。
統合報告書は自社の強み・特長や成長ストーリーがまとまっているツールではありますが、学生にとっては難しい内容も含まれます。そこで統合報告書の“エッセンス”を抜き出し、Webや映像等の他メディアで展開する方法があります。統合報告書の制作と同時に進めることで効率アップとともに、訴求したいストーリーの整合性も取りやすくなるメリットがあります。なお、当社が統合報告書を制作していない場合でも、他メディアに展開する提案が可能です。
Webサイトにおける展開例
映像における展開例
ダイジェスト版冊子等として展開例
また、いずれの実績も学生だけをターゲットにしているわけではなく、戦略推進の担い手である従業員に対しても有効なツールです。文字情報だけでは伝えづらい、理解しづらいことをイメージとあわせて訴求することで理解を促しています。もし人事部門が統合報告書を活用したオープン・カンパニーを計画する場合、こうしたツールを通じて統合報告書を理解し始めた30代の中堅社員が説明者として活躍するかもしれません。
オープン・カンパニーのプログラムを提案
ブレーンセンターでは大学や学生さんとのネットワークを広げる活動を進めています。すでに一部の企業さまで「価値創造モデル」を読み解き、企業理解を深めてもらうためのオープン・カンパニーを支援しました。今後、より多くの企業さまのお役に立てるようサービスの拡充を図ります。興味・関心がある方はお問合せフォームよりご連絡ください!
また、2025年5月に統合報告書を活用したオープン・カンパニーに関するウェビナーを開催予定です。オープン・カンパニーの進め方や反響等もお伝えできればと考えています。ウェビナー等の情報は当社メルマガ「BC通信」で発信中です。ぜひご登録ください。
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次回の「統合報告の行方」では、従業員、特にキャリア採用やM&Aで参画した従業員をターゲットに統合報告書の活用方法について考察する予定です。お楽しみに!