Angle

クライアント企業の情報開示、ブランディングの進化・深化を考える
ブレーンセンターの「視点」

社会課題への取り組みが伝わらない。そのギャップを乗り越えるには?

足りないのは、「受け手にどう受け止められているか」を知ること

サステナビリティの情報開示や発信はたくさんしているけれど、伝わっているのかわからない。社内でも、自社の考え方や取り組みの意義が十分に浸透している実感がない。事業部門とサステナビリティの情報を発信する部門との温度差が埋まらず、みんな、なんとなく手応えを得にくい。そんなお悩みはありませんか?そもそも、経営層や事業部門に「なぜ今、発信に力を入れる必要があるのか」を理解してもらうところから苦労している担当者も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

その要因は、企業から発信された情報と、情報の受け手の捉え方の間にある「ギャップ」かもしれません。ここでいうギャップとは、開示項目の過不足ではなく、企業が伝えたいことと、受け手が実際に受け止めたことの間に生じているズレを指します。このギャップを把握することこそ、真に伝わる発信への第一歩だと、当社は考えています。社外の受け手が実際にどう受け止めているかという事実は、担当者の言葉だけではなかなか動かない経営層や事業部門に、発信の必要性を実感してもらうための確かな材料にもなります。

推測をやめて、届けたい相手の声に耳を傾けよう

社内でいくら議論を重ねても、受け手の捉え方は推測の域を出ません。推測にもとづく説明では社内の理解も得にくいものですが、受け手の声は、経営層や事業部門が自ら課題に気づくきっかけになります。受け手の声に向き合い、何が伝わり、何が伝わっていないのかを確かめることで、はじめてギャップが具体的に見えてきます。必ずしも大がかりな場を設ける必要はありません。アンケートや個別のヒアリングなど、身近な手段から始め、必要に応じて直接の対話の場へと深めていくこともできます。

将来世代・学生

企業の考えや取り組みの背景・意義が伝わっているか。共感できたこと、疑問に思ったことは何か。

手法 例 メリット・留意点
アンケート 学生に報告書やWebサイトを読んでもらい、感想を募る ○:多くの声を短期間で集められ、傾向を数字で示せる
△:共感や疑問の理由まで知りたい場合は、自由記述欄を設けるなど設問を工夫する
ワークショップ 学生と直接対話する機会を設け、ギャップを把握する ○:深く掘り下げられ、参加した社員にも気づきが生まれる
△:工数がかかるため、テーマや参加者を絞って実施する

投資家

マテリアリティや取り組みが、強みや将来性、企業価値とつながって見えているか。IR面談で寄せられる質問や指摘を「何が伝わり、何が伝わっていないか」という視点で整理するのに加え、投資家の声を事業部門にまで届ける場を設けると、ギャップを社内全体で受け止めやすくなります。

手法 例 メリット・留意点
勉強会兼ディスカッション 投資家の声を、IR部やサステナビリティ推進部だけでなく事業部門にも届け、ともに議論する ○:事業部門が投資家の視点を直接知り、自分ごととして捉えるきっかけになる
△:投資家の協力を得やすいよう、テーマを明確にして早めに調整する

有識者・専門家

取り組みが社会課題の本質を捉えているか。社内だけでは整理しにくい論点は何か。個別のヒアリングや統合報告書への第三者意見に加え、経営層が直接指摘を受け止めたり、複数の視点を一度に得たりできる場を設けることも有効です。

手法 例 メリット・留意点
対談 有識者と経営層(CxO)が、社会課題と自社の役割について語り合う ○:経営層が直接指摘を受け止められ、対談自体を発信コンテンツにも活用できる
△:公開を前提にしても踏み込んだ議論になるよう、テーマ設定や進行を工夫する
クローズドセッション 有識者を交えた少人数の非公開の場で、率直に意見を交わす ○:率直な意見を引き出しやすく、複数の視点を一度に得られる
△:得られた論点を社内共有や発信の見直しにどう生かすか、あらかじめ設計しておく

社員

自社の考え方や取り組みが社内でどこまで理解されているか。部門や職位によって受け止め方に違いはないか。

手法 例 メリット・留意点
社内サーベイ 社員を対象に、自社の考え方や取り組みへの理解度・共感度を調べる ○:部門や職位ごとの浸透度を全社規模で把握でき、定点観測にも使える
△:理解が進まない理由まで捉えられるよう、自由記述を設けたり対話の場と組み合わせたりする
社内勉強会・ワークショップ 社員が自社の考えや取り組みについて話し合う ○:理解を深めながら、受け止め方の違いとその背景をつかめる
△:部門や職位が偏らないよう参加者を選び、サーベイの結果とあわせて分析する

手軽な手段で全体の傾向をつかみ、気になる点を対話の場で掘り下げるなど、目的や状況に応じて組み合わせることで、ギャップをより確かに捉えることができます。

見えたギャップを発信に還元する

ギャップの把握はゴールではなく、出発点です。大切なのは、見えてきたズレをどう埋めていくかです。

把握したギャップを経営層や関係部門と共有し、そもそもなぜ発信が必要なのかについて立ち戻り、社内の共通認識をつくります。社外の受け手とのギャップを、価値創造ストーリーや開示内容の見直しに反映します。

当社はこれまで、こうしたギャップの把握から、社内外への発信につなげるまでの支援を数多く手がけてきました。直近では、クライアント企業4社と約30名の大学生によるワークショップを開催。企業が社会課題への取り組みを説明し、学生が疑問や違和感を率直にフィードバックしたうえで、どう改善していくかのアイデアを、相互の立場から話し合いました。次回のAngleでは、その模様をお届けします。