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ブレーンセンターの「視点」

「自分ゴト化」につなげる社内勉強会のコツ統合報告書を活用して対話の深化をはかる

統合報告書を活かして理念や成長戦略を浸透

いまや企業の持続的成長に不可欠なものとなった「人的資本経営」。人材を「資本」と捉え、中長期的な企業価値向上につなげていく経営のあり方です。従業員の能力や意欲を引き出し、企業価値向上につなげるためには、一人ひとりに企業の目指す理念やパーパス、成長戦略を理解してもらい行動に落とし込んでいくこと、すなわち“自分ゴト化”が欠かせません。

しかし、理念やパーパス、成長戦略などはどうしても概念的・抽象的になりやすく、部署や職位によって理解度に差が出ることもあります。また、浸透させていくための活動にはコストやリソースもかかります。本記事では、これらの課題に直面する方々に、“自分ゴト化”への有効なアプローチの一つとして「統合報告書を活用した社内勉強会」をご紹介します。

統合報告書はもともと、株主・投資家向けのツールとして生まれました。そこには、会社の理念やパーパス、ビジョン、強み、成長戦略など、経営に関わる主な要素がコンパクトにまとめられています。すでにある自社の統合報告書を活用すれば、大きなコストやリソースをかけずに自社の方向性や価値観を共有することが可能です。特に「勉強会」というカジュアルな体裁をとることで、気軽に経営に関わる情報に触れ、日々の業務へと落とし込みやすくなります。

どのようにプログラムを設計すべきか

目標、参加者、開催形式。この3つを吟味することが勉強会を成功させるコツです。

目標――大きなゴールだけでなく焦点を絞った目的を決める

大きなゴールは「ビジョンや戦略を理解し、日々の業務に落とし込んでもらうこと」ですが、実際に社内勉強会を開催する場合には、もう少し焦点を絞った「目的」を決めることが効果的です。たとえば、「戦略理解をする基礎知識が不十分なので、外部からの要請やトレンド・事例を理解する」「部下や後輩に自らの言葉で説明できるようにする」「自社の顧客に対してビジョンや戦略を語れるようにする」といった目的です。

参加者――どの階層かによっても目的は変わる

参加者の違いで勉強会は大きく2つに分類されます。

  • 経営層が参加する社内勉強会(トップダウン型)
  • 現場で働く従業員が参加する社内勉強会(ボトムアップ型)

経営層が参加する場合は、トレンドや外部要請、他社動向などの最新事例をインプットする目的で開催するケースが多いです。現場で働く従業員が参加する場合は、職位等に応じて目的はさまざまです。管理職や施策を推進する担当者と、実際に戦略を担う従業員のリテラシーや関心の差を踏まえた最適なプログラム設計や開催形式を考える必要があります。

開催形式――目的に照らして最適な方法・規模を選ぶ

1.講義形式

講師が統合報告書の発行意義や企業戦略を体系的に解説し、その後に質疑応答を実施します。経営層が登壇することで重みが増しますが、難しい場合は制作会社や研修会社など、外部講師を活用してください。企業全体の方向性を広く共有できるため、まずは基礎知識として知ってもらいたい場合は講義形式が良いでしょう。オンラインでも開催しやすいため、かなり多くの人数を対象にできます。

2.質問会

参加者が事前に統合報告書を読み、質問を準備。当日は経営層や担当者に直接質問し、意見交換します。さまざまな立場から意見を出して会話することで、新しい視点から気づきを得てもらえることが期待できます。参加者が発言することを踏まえると1回あたりの参加人数は30~40人程度が一般的です。

3.ワークショップ

統合報告書の内容をもとにグループに分かれてディスカッションし、決められたテーマに対する気づきや意見を共有します。1グループあたり5名程度とすることで、講義や質問会よりも発言しやすく、より能動的な参加が期待できます。

開催後のフォローも忘れずに!

当社が社内勉強会を支援したお客様(勉強会の主催者)からは、以下のような声が届いています。

  • 想像以上に活発な議論がされ、従業員の会社への関心の高さを知る機会になった。
  • 終了後に参加者から前向きな意見が多数寄せられた。

また、勉強会の参加者からもその効果が感じられる感想が寄せられています。

  • 会社の方針をよりクリアに理解できるようになった。
  • 他部署の取り組みや課題を知り、自身の業務を見つめ直すきっかけになった。

こうした好影響が期待できる社内勉強会も、ただ単独で開催するだけでは効果は限定的。

  • 開催後にアンケートに回答してもらう
  • 勉強会の様子を社内報やイントラネット上で記事や動画にして配信する
  • ビジョンや戦略に紐づく好事例を周知し、表彰する制度をつくる

など、「自分ゴト化」には、計画的なフォローと、さまざまな施策を組み合わせて継続的に実行していくことが重要です。

ブレーンセンターでは、こうした社内勉強会の支援だけでなく、ビジョンの策定・浸透に向けてコンサルティングからツール制作まで幅広くサポートできます。お気軽にご相談ください。