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持続可能な開発目標(SDGs)で創る我々の未来

独立行政法人国際協力機構企画部SDGs推進班(執筆当時)
政策研究大学院大学政策研究院参与(現在)
紺屋 健一

掲載日:2018年1月10日

03SDGsの特徴・意義

SDGsの特徴や意義については、様々な捉え方があるが、ここでは筆者が様々な方との意見交換や事業を通じて認識した捉え方について紹介したい。

3.1 世界共通の目標・共通言語 「誰をも主役にするもの」

【あらゆる層の合意に基づく共通言語】

SDGsはその前身であるMDGsと異なり、その策定過程は極めてオープンであった。政府、民間企業、研究者、市民などあらゆる層が議論に参画し、その数は1千万人とも言われる。そのようなプロセスを経て策定されたSDGsを否定する層は極めて少なく、基本的にはあらゆる層が共通の目標として受け入れていると言える。SDGsは未だ認知度が高いと言えないが、MDGsに比べると極めて多くの層、数の理解を得ている。今後、世界各国の政府や民間企業、市民が議論するための共通言語としての性格が更に強くなると考えられる。当機構においても、SDGsを通じ、これまでよりも格段に多様な方々との連携可能性が高まっており、またそれにより新たなアイデアを生み、事業を実施することも可能となっている。同様にあらゆる方々がSDGsを通じて互いを理解し、また新たな活動を産み出せると考えられる。

【皆の目標を後押しするもの】

SDGsは、「誰一人取り残さない」との考え方の下、基本的には世界のあらゆる人にとっての課題を網羅している。このため、誰もが自らの課題をSDGsの中で見出し、その解決を通じて、目指す理想を実現していくといった活用が可能である。前述のとおり、当機構についても、従来進めていた人間の安全保障の理念について、世界共通の目標であるSDGsを用いることで、その実現を加速・推進できると捉えている。同様のようなことは、社会の課題を解決しようとしてきたあらゆる層についても当てはまるものと考えられる。例えば、当機構にて講演を頂いた大日本印刷は、誰にでもあけやすいパッケージを開発する等のユニバーサルデザインの取り組みを20年以上進めており、これは正に「誰一人取り残さない」に合致し、その理念を理解できると述べられている。マラリア蚊を防除するオリセットネットにかかる事業で当機構とも連携を行っている住友化学においても、「事業を通じて持続可能(サステナブル)な社会の発展に貢献し、自らも持続的な成長を続ける」という同社の姿勢とSDGsが合致するとされ、その他も、東京大学が「地球と人類社会の未来に貢献する協創活動を活性化させる」という概念とSDGsが合致するとしているなど、民間企業や大学などが、社会の中での自らの役割を見直す際に、SDGsが自身の理念と合致するとしてSDGsを推進しようとする例は枚挙に暇がない。多くの方々に、SDGsを用いて、自らの理想の具体化とその実現に向けて、議論、決定、実現していくことが期待される。また、そのプロセスや結果を発信頂くことで、別の方々を触発することにも繋がると考えられる。

3.2 世界の課題を網羅「世界の今と未来の課題を発見できる」

【厳選された課題・最新の世界の関心を特定】

SDGsは、世界の重要課題を網羅する。当初ゴールの候補は約300あったが、あらゆる層による膨大な協議を踏まえて、そこから17に絞り込まれた。これらはその下の169のターゲットと併せて厳選されたものと言える。このため、これらのゴール、ターゲットから、世界の今、また未来の課題を理解することができる。世界の課題を挙げた文献は多数あるが、世界での議論を経てまとめられたものはSDGsのみと言える。

SDGsを通じて理解できる課題は、大きくは、持続可能性の重要性、変革の必要性、取り残される人をなくす等が挙げられるが、更に具体的な課題も発見できる。例えば、ゴール3の「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」では、従来から課題とされていた感染症への対応(ターゲット3.3)に加え、その次の段階とも言える前述のUHC(同3.8)や非感染性疾患による若年死亡率の1/3削減(同3.4)、交通事故死傷者数の2020年迄に半減(同3.6)が並列されている。これは、開発途上国においても、衛生状況の改善により感染症が減少し、他方で生活習慣病の増加や自動車の増加による交通事故が大きな問題となりつつある(図3)との認識に基づいている。

図3 2030年迄の世界の死因の予測

またゴール4は「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」とされており、学校に行けない子どもを学校に行けるようにする、という段階から、「質」など次の段階に進みつつあることが理解できる。

この他も、MDGsとは大きく異なる次のような課題が世界で重視されていることを理解することができる。

9.5 イノベーション促進・研究者増
10.7 計画・管理された移民政策
12.3 食料廃棄半減
14.1 海洋ゴミ削減
15.8 外来種侵入防止
16.2 子どもに対する虐待撲滅

【民間や研究者等にとっての機会の提供やリスクの回避】

これらの課題は、多くの層にとってチャンスとなり得る。2016年のダボス会議時にはSDGsの年間市場規模12兆ドルであるとの報告書も提出されている。民間企業にとっては新たなマーケットあるいはリスクの特定(SDGsに挙げられていることが関心事項であり、これに抵触するようなことが不買運動などのリスクになり得る)に、研究者については研究の対象になる。ジェンダー平等など、一部の課題については、開発途上国の方が先進的な取り組みを行っている場合もある。またフィンランドなど、ジェンダー平等が進んだ国においても、SDGs達成のためにジェンダーの差に基づく暴力の低減など更に高い目標を設定しており、市民社会にとっては有益な事例となり得る。

【民間企業にとってのSDGs活用の考え方】

  • ①ビジネスチャンスの獲得
    • SDGsで挙げられた貧困撲滅や難民、障害者、高齢者など取り残されている人々の生活改善などの社会課題をマーケットとして捉える。
    • SDGsを共通言語として新たなパートナーシップと新たなマーケットを獲得する。
  • ②円滑な資金調達
    • ESG投資等の要件を満たした持続可能な事業計画を策定し、資金調達を円滑に行う。
  • ③リスクの回避
    • SDGsに挙げられる環境(水や大気、生物多様性等)や人権(素材調達や生産現場での不適切な労働)に対する負の影響の回避。

【ESG投資等へも具体的な視点を提供】

SDGsは絞り込まれたとは言え、17のゴール、169のターゲットと非常に多くの視点があるが、それは具体的な課題が特定されているとも言える。この具体性も様々な場で活用できる。例えば、ESG投資(環境、社会、ガバナンスを重視した投資手法)については、投資の具体的な評価基準を定めるためにSDGsを活用することが検討されている。他にも、学校教育では持続可能な開発が我が国の学習指導要領に2020年度に含まれることが決定したが、そこでも持続可能な開発とは何かを具体的に教える際の拠り所となり得る。

【海外での先進事例】

以上のようにSDGsは新たな課題を発見することが可能であるが、その活用については欧米が進んでいる。例えば、ユニリーバはSDGsに最も積極的に取り組んでいる企業であるが、CEOが年報の中でSDGsに貢献すべく廃棄物の削減を通じ利潤を拡大していることを述べている。テスコ、ネスレなど複数の企業は共同で食品ロスの削減に取り組む方針を表明している。

【イノベーション】

SDGsには、困難ではあるものの、達成が不可欠とされるものが多くある。これらについては、イノベーティブな取り組みが必要であり、そこにもビジネスチャンスがあると考えられる。科学技術・イノベーションでSDGs達成に貢献しようとする議論は非常に活発に行われており、気候変動対策としての再生可能エネルギーの利用拡大等は既に取り組まれている。しかしながら、その他も、様々な社会変革(イノベーション)と技術革新(インベンション)の機会がある。例えば、男女平等や障害者の方々が自由に移動したり発信できるようにしていくことはイノベーション(社会変革)であると考えられ、そのために技術革新を行っていく必要がある。ブロックチェーン技術は、難民など国に頼れない人の信用や財産を管理できる、あるいは自発的な移動・移民を容易にする可能性もある。ITがインドの多くの若者に職を与えたように、AIは職業に大きな(負の可能性もある)影響を及ぼす可能性がある。

企業や大学などが保有する技術を何に活用していくべきか、あるいは技術はあるものの何を開発していくべきか分からない場合に、SDGsを共通言語にした議論をしていくことでヒントになることが多くあるものと考えられる(当機構においても、このためのワークショップを実施した)。

また、特に経営者や若手社員については、企業風土や文化を変えたい、新しいことに取り組みたいと思う方々も多いと考えられるが、組織的にSDGsとその達成のためのイノベーションに取り組んでいくことで、文化を変えるといったことが実現可能な場合もあると考えられる。既にそのような企業も存在する。是非、様々な組織において、このような観点でもSDGsを活用頂きたい。

Profile

独立行政法人国際協力機構企画部SDGs推進班(執筆当時)
政策研究大学院大学政策研究院参与(現在)
紺屋 健一
1996年国際協力事業団(JICA)入団、建設省出向、フィリピン事務所勤務。
その後、都市開発分野の担当課長等を経て、2016年5月から企画部SDGs推進班参事役。2018年1月から現職。

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