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投資家向け広報(IR支援)

脱炭素に向けた日本企業の針路
―2050年カーボンニュートラル宣言をうけて―

法政大学 人間環境学部 教授
長谷川 直哉

掲載日:2020年12月11日

03求められる成功体験との訣別

日本企業は優れた技術を背景に、新しい価値を社会に提供してきた。しかし近年、グローバル市場における日本企業の存在感は著しく低下している。ハイスペックな技術やナレッジを保有しているにもかかわらず、何故、日本企業はかくも弱き存在となってしまったのだろうか。この要因の一つとして考えられるのが、日本企業に蔓延る自前主義である。多くの企業が顧客第一主義を掲げながら、社会のニーズにマッチしない製品・サービスを生み出している。

「木を見て森を見ず」という諺があるが、日本企業は内向き姿勢が強く、目先のことばかりに気を取られ過ぎて、社会との関係性を築く努力を怠っているのではなかろうか。SDGsは、企業が社会と新たな関係を構築するチャンスなのである。

ROEを高めることも大切ではあるが、経営者がいま為すべきは、未来社会における自社の立ち位置を構想することではないだろうか。日本企業で働く人々の勤勉性と組織への忠誠心は評価したいが、社会との関係性に思いを馳せるアウトサイド・イン思考が欠けているように感じる。

社会の変化に目を向けず、ひたすら独りよがりな製品開発を続けると、いずれグローバル社会で孤立してしまうだろう。いつまでも過去の成功体験を金科玉条のごとく崇めているようでは、人々の共感を得ることはできない。ビジネスの脱炭素化を迫るパリ協定は、建前だけの顧客至上主義から脱却するまたとないチャンスといえよう。

Profile

法政大学 人間環境学部 教授
長谷川 直哉
1982年安田火災海上保険株式会社に入社し、資金証券部、株式部、財務企画部、損保ジャパンアセットマネジメント等において資産運用業務を担当。1999年エコファンド「ぶなの森」を開発。2002年早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了(法学修士)、2005年横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士後期課程修了(経営学博士)。2006年山梨大学大学院准教授、2011年から現職。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。

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